音・感・和 : 自然音再生の琥珀音響工芸舎
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琥珀音響工芸舎・メールマガジン【東風】
心安らいだり、思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを紹介していきます。毎月1・15日配信です。
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第31号 : 平成17年9月1日
耳を澄まして聞こえてくる自然の響き。思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを見つけてみました。
http://www.onkanwa.com/
(毎月 1・15日配信)
2005/09/01 号
ご挨拶
暑い夏もそろそろ終わりです。今年の夏は、暑いことは暑かったものの、何か久しぶりに暑すぎず寒すぎず穏やかで、平均的な夏だったような気がします。まぁ、去年の猛暑を知っていると平均的な夏の暑さだとホッとします。

この後は、秋です。芸術の秋、食べ物の秋とありますが、秋の夜空に浮かぶ真ん丸い満月、中秋の名月は楽しみな行事です。今年の中秋の名月は9月18日。風情豊かな中秋の名月をボンヤリ見ていると、ついつい一献、一献、また一献とやりたくなってきます。それとともに、日本で見る月はやはり格別だと喜びを噛み締めます。

今回は、和歌のサイトを紹介してみました。もう少し涼しくなったら、お月様を見上げて一句読んでみてはいかがでしょうか(^^)/
おすすめCD
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番・第31番・第32番
ルドルフ・ゼルキン ( ピアノ )
( ユニバーサル : UCCG-9481 )
SP時代からアドルフ・ブッシュ(violin)との共演で知られていたルドルフ・ゼルキン。正統的かつ篤実な演奏で、ベートーヴェンやモーツァルトなどのオーソドックスな曲目で素晴らしい演奏の数々を残しています。その中でも、84歳にして残したベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタ集は、至高のものです。

ピアニストの前に、演奏の上でも、曲の内容でも大きく立ちはだかる名曲として知られる後期ピアノ・ソナタ。ゼルキンは、一気にライブでこの曲を演奏しています。もともと、放送録音として録音されたものの、演奏があまりにも素晴らしいため、演奏に手を加えることなく発売された事でも知られています。

もちろん年齢による指のもつれやミスタッチもあります。しかしそれ以上のものがここにはあります。ゼルキンの誠実で穏やか、それでいてがっちりとした芯と骨の太さが兼ね備えられています。その相反する要素が、静かな湖面に映っているかのようです。すべての曲が絶品ですが中でも、32番の最終楽章の滋味溢れる演奏はゼルキンが最後辿り付いた、もののあわれを感じさせる最高の演奏です。


※残念ながら現在廃盤中のようです。廃盤になっているのは大きなショックでしたが、名盤として名高いものですのですぐに再発されると思います。

ホルショフスキー カザルス・ホール・ライヴ 1987
ミエチスラフ・ホルショフスキー ( ピアノ )
( BMGジャパン : BVCC34130 )
チェロの大巨匠として名高いパブロ・カザルス。そのカザルスとも頻繁に室内楽を演奏し、100歳になるまで現役のピアニストとして活躍していたホルショフスキー。そのホルショフスキーが、盟友カザルスの名を冠した御茶ノ水“カザルス・ホール”の柿落としのため95歳にして初来日し、演奏を行ったすべての記録がこの2枚組みのCDです。

最初の曲の「バッハ : イギリス組曲」では、まだ指が温まっていないのか所々音の粒が揃っていないところもあります。しかし、途中からは年齢を全く感じさせずに、バッハならではの多声部を見事に描き分けています。その後のモーツアルト、ショパンも間の取り方が実に自然で素晴らしいという言葉以外に何も出てきません。

それ以上に何よりも素晴らしいのが、2枚目に収められたアンコール集。地味でありながらも底光りするふくよかで透明な輝き。その衒いの無いまっすぐなピアノの音が空間に浮かんでは消え、浮かんでは消えていきます。その音の浮揚から、ふと我に帰ると幸福感がジンワリと体の中から染み出してきます。

美しく老いた達人が成し遂げた境地。絶品です。
⇒ソフト情報・購入先(Amazon.co.jp)
⇒試聴先(HMV.co.jp)

ドビュッシー:前奏曲第1巻/ベルガマスク組曲
アナトリー・ヴェデルニコフ ( ピアノ )
( コロンビア : COCQ83658 )
ソビエトの音楽関係者の間では誰もがその実力を認めていたヴェデルニコフ。その実力にもかかわらず、最晩年まで海外で全く紹介されることが無く、「悲劇の巨匠」、「悲運の名ピアニスト」と呼ばれていました。彼にとって、日本はまさに憧れの国でした。

1920年にハルピンに生まれたヴェデルニコフ。13歳にして神童の名を欲しいままにし、15歳の時には一年間東京に滞在し、活発な演奏活動を行っていました。しかし翌年、ソビエトに両親と共に帰国するも、父親はスパイ容疑で射殺され、母親は収容所送りになります。その苦難の中でヴェデルニコフは音楽をより深めていきます。しかし、ソビエト当局が危険視していた音楽を頻繁に演奏したことと併せ、彼は当局から完全に目をつけられることになり、国外で演奏することはありませんでした。

しかしようやく1980年代から国外での演奏会が行われるようになります。そして若き日の思い出が残る日本への念願の再来日を目前にした1993年。やっとこれからの本当の活躍が望まれる中で逝去しました。このCDは、ヴェデルニコフの最晩年となった1989年のライブ演奏です。

このCDの最大の聞き物は、トラック10の「沈める寺」です。それ以外の曲も素晴らしいのですが、この「沈める寺」は格別です。静かでありながら、ひたひたと迫り来る雄大な陽炎。ただひたすらに透明で、静かな風景。音楽が盛り上がってもその静かな深みから揺らぐことはありません。この静かな深さは格別です。知る人ぞ知る名ピアニストですが、絶対のお勧めです。
⇒ソフト情報・購入先(HMV.co.jp)
おすすめサイト
和歌の総角 わかのあげまき
万葉・古今を中心に、新古今まで幅広く和歌を、花・恋・夢・風・月など主題別に分類し、簡単な訳・解説、コメント。あげまき(総角)の結い方や総角が登場する和歌などもわかりやすく解説されています。デザインも品良く作られたもので、情報が充実。中で掲載されているイラストも見事です。
万葉散歩 フォトギャラリー
奈良県・飛鳥や山の辺の道、吉野などの万葉集で歌われた故地を写真とともに紹介する万葉散歩フォトギャラリーです。整理された情報も見やすく、写真が実に美しいです。
『百人一首』・響きあう歌の心
連鎖解読説に基づき、全体が結び付いたひとつの作品として百人一首を再解釈。複数の歌を並べて鑑賞することで魅力が倍増するというのは、平安時代の着物の色あわせと繋がるのかなぁという気もしてきます。専門的な情報もあり、難しい部分もあるかもしれませんが、一見の価値ありです。
インターネットラジオ
ヨーロッパ古典音楽は海外サイトで充実したサイトが数多くあります。今回紹介するのは、その中でも回線が安定していることと音質が良いサイトに限りました。一般にはもっと知られているサイトも多くありますが、意外と音質的にはそれほどでもなかったり、有名だから故に(?)、回線が不安定になることがありますので今回の紹介は見送り。
番組表wiki - 海外ラジオの音楽番組をオンライン放送で聴こう@クラシック板
ヨーロッパ古典音楽 : 総合
クラシック音楽のインターネットラジオ情報をほとんどすべてと言ってよいほど網羅したサイト。ライブ音源を始めとする各国のラジオ放送の中での聞き物も、こちらをご欄になっていただくと日付ごとに新しい情報が紹介されています。紹介されているラジオサイトの情報も丁寧に紹介され使いやすいです。クラシック音楽のインターネットラジオに関心がある方はまずこちらのサイトをご訪問することをお勧めします。

Radio Classique ( ⇒Radio URL )
ヨーロッパ古典音楽
フランスのサイト。曲目のリストも詳しく表示されています。音質も非常によく回線も安定して、ほとんど途切れることがありません。曲目ごとに曲目紹介のナレーションが入りますが、もちろんフランス語のためサッパリ (;^_^A アセアセ・・・ 選曲は室内楽が大目か?知られていない曲も数多くかかるので、逆に辺に気にせずにBGMとして利用しやすいサイトです。

WDAV 89.9 Classical Public Radio
ヨーロッパ古典音楽
回線の安定性も高く、音質も申し分ないアメリカのサイトです。結構ポピュラーな曲目もかかり、“Now Playing”に詳しい情報が出ます。そこに書かれている“Buy Now”のボタンをクリックすると各タイトルの詳細ページが開き購入することもできます。かかっている演奏の詳細が分かりやすく、全体のページも内容が整理されているので使いやすいです。

NRK Alltid Klassisk ( ⇒Radio URL )
ヨーロッパ古典音楽
ノルウェー国営放送のクラシックラジオ。クラシック音楽だけに限らず調べると他のジャンルでも放送内容が充実しています。回線も安定して、音質も良いです。しかし、曲目紹介もノルウェー語だけにチンプンカンプン。海外サイトに馴れているとなんとなく何処をクリックしたらラジオを試聴できるか分かりますが、馴れていないと分かりづらいです。試聴したいときは、直接上記の“( ⇒Radio URL )”をクリックしてください。
後 記
小さい頃から文学が好きだったかというとそれほど好きではなく、ストーリーのあるもの、例えば小説・ドラマ・映画といったものは、どちらかというと苦手な分野でした。本は好きだったので読むことは読むのですが、ノンフィクションや実用書ばかりでそれはもう味気ないものでした (^^;)

大学に入ってからも同様だったのですが、実際は文学などが嫌いなのではなく、私小説などの『私』が中心に物語がまとめられているものが苦手なのだと分かってきました。そして一般に古典と呼ばれる文学などは結構好きだということがわかり自分でも驚いたことがあります。

実は、この『私』がメインにある物語というのは、近代以降発生したものでしかなく、案外歴史の浅いものです。古典と呼ばれる名著には、『私』という小さなものではなく、もっと普遍的な視点から物語が語られていきます。近代の『私』という視点とは異なったところから物事を見ていくといろいろと楽しいことが見えてくると知るきっかけを与えてくれたのは、『歌(詩)』でした。

良い歌というのは、『言葉の響き・言葉の調子・言葉の意味』、この三つが完全に一体となったものです。その三つが一体となった『歌』に個人の感情を入れて読み込むとどうしても、『歌』の全体が濁ってきます。大切なのは、できる限り個人の感情ではなく、その瞬間瞬間の素直な心の発露を衒いなく、言葉にすることです。例えるとそれは、思わず心が動いたときに出るため息に近いものなのかもしれません。そのことで初めて、個人の感情よりももっと普遍的な『歌』の喜びへと繋がっていくようです。

拙いながらも時々、『歌』を作ってみたりすることもあります。出来上がった当初は、「なかなか良いものができた ( ̄ー ̄) ニンマリ」となりますが、しばらくして読み直すと恥ずかしい限りのものばかり (^^;)

それでも『歌』を心に置いているだけでも、ものの見え方が変わってきます。皆さんも、試しに一句詠んで悦に入ってみてはいかがでしょうか。
編集担当:中村 聡

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