音・感・和 : 自然音再生の琥珀音響工芸舎
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琥珀音響工芸舎・メールマガジン【東風】
心安らいだり、思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを紹介していきます。毎月1・15日配信です。
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第40号 : 平成18年1月15日
耳を澄まして聞こえてくる自然の響き。思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを見つけてみました。
http://www.onkanwa.com/
(毎月 1・15日配信)
2006/01/15 号
ご挨拶
年末からの大雪。東京近県ではほとんど影響なく、寒い日が続いているだけですが、日本海側の様子を見ていると本当に大変だなと思います。元々鹿児島出身だけに、雪を見るとワクワクしてしまいますが、これだけ降っているのを見るとただ圧倒されてしまいます。

以前、盛岡に行ったとき、可愛らしい背のちっちゃな女の子が、4WDのドデカイ車を乗り回して「毎朝、雪道の中を出社してくるんですよ〜!」とニコニコと喋っていました。近くにいた皆さん、「どう見てもこの娘が車に乗られちゃっているんだけどねぇ (^^) 」と。その話を聞いて雪国は雪国で、全く違う物の見え方があるのだろうと思うことしきりでした。

降り積もった雪を下ろすのは大変そう。何より雨が染みたらもっと重くなってしまうのだろうなぁ……。体験がないので、見ているだけで想像するしかありませんが、少しずつ寒さも緩み春が近づかんことを。
おすすめCD
能楽囃子 : 至高の四重奏
観世寿夫 ( シテ ) 他
( ビクターエンタテインメント : VICG60394 )
能楽はやはりその場で演じられる空間を共有しないことにはその魅力が伝わりにくい物だと思います。演じ手のその場の存在感を五感で感じ取りながら空間を共有する。それだけに音だけになった物ではなかなかその魅力が伝わらない物だといえるでしょう。

しかしここで紹介するタイトルは、その常識の枠組みをはるかに超えた傑作録音です。特に、一曲目の『道成寺』。その乱拍子の部分を録音した物は将に圧巻です。演じているのは、伝説的な能楽師である観世寿夫氏。その裂帛の気と品格の高さが尋常でない声。そこに、囃子方が張り詰めた緊張感と気迫溢れる演奏をしています。

一曲目以外も素晴らしい演奏なのですが、何よりも一曲目は凄まじい代物です。この録音は私のコレクションの中でも特に大切にしている一枚。聞くときには、こちらも気押されないように居住まいを正しくする必要がありますが、最高の能楽のCDとして心から推奨できます。是非一度耳にしていただきたい録音です。
⇒ソフト情報・購入先(HMV.co.jp)・試聴可

能楽囃子名曲集
藤田大五郎、一噌幸政(笛) / 幸宣佳(小鼓)
安福春雄、亀井俊雄(大鼓) / 金春惣右衛門(太鼓)他
( ビクター財団 : VZCG4 )
能が始まるときに舞台裏から聞こえてくる囃子方の演奏。その響きを聞いただけでその日の演目の出来栄えが分かるとまで言われます。このタイトルでは、その囃子方の響きから幽玄という言葉がそのまま立ち現われてくるかのような、優雅でありつつ物寂しく高雅な空気を感じさせる物となっています。

演奏している囃子方は全て当代随一の名手ばかり。中でも、笛の神様とも言われる人間国宝の藤田大五郎氏の演奏の優雅で美しいこと美しいこと。一曲目の音取(置鼓)での朝靄に煙る竹林に迷い込んだような気がしてきます。本当に藤田大五郎氏の演奏は音から薫風が漂ってきます。それ以外にも藤田大五郎氏の弟子である一噌幸政氏の演奏等。どれもが舞台の様子が眼前に広がってくるようでお勧めです。
⇒ソフト情報・購入先(HMV.co.jp)
⇒試聴先(じゃぽ音っと)

観世流謡曲名曲集 (祝言小謡集)
観世寿夫 ( 独謡 )
( ビクター財団 : VZCG5 )
『高砂や。この浦舟に帆をあげて。この浦舟に帆をあげて。月もろともに出で汐の。波の淡路の島影や。遠く鳴尾の沖過ぎてはや住の江に着きにけりはや住の江に着きにけり。』

結婚式などのめでたい席で歌われる祝言。最近の結婚式ではなかなか耳にすることはなくなってきていますが、やはりひとつの慶事として祝言小謡が歌われると厳かでありながらありがたい気がしてきます。和歌の神である住吉明神の化身の老人夫婦が日本で和歌が栄えるのは、万物に歌心が宿っているからであり、特にめでたいのが相生の松であると伝えたという故事を題材にした能楽≪高砂≫。慶事にはめでたい歌を謡って祝うというのは世界中あるのでしょうが、日本でも再度見直されても良いことのような気もします。

ここで紹介するタイトルは、観世寿夫氏による物。格調高い歌声が実に素晴らしいです。
⇒ソフト情報・購入先(HMV.co.jp)
⇒試聴先(じゃぽ音っと)
おすすめサイト
社団法人 能楽協会
能楽協会の公式ホームページ。世界遺産能楽(能、狂言)に関する幅広い解説をはじめ、曲目紹介、全国能楽堂案内、学生鑑賞会や派遣授業などの普及活動紹介、書籍案内等まで能楽の歴史などなど。能楽をやさしく紹介しています。日本各地の能楽堂も掲載されていて、能に関するあらゆる情報が集まっています。
花と幽玄の館Dictionary
世阿弥とのサイバー・インタビュー、能楽鑑賞、能面、そして各種の参考書籍や情報などを紹介。用語集を始め、各種情報が非常に充実しています。逆に情報がありすぎて迷子になりがちなところがないわけではありませんがそれもまた良し !? 各コンテンツどれも興味深いです。
能楽の淵
関西で能と狂言を楽しむための情報サイトです。関西での公演情報はほぼ網羅。初心者向けの基礎知識や見方などシンプルでありながら情報が実に整理されて見やすくなっています。公演情報や関連書籍・CD・DVDの紹介なども貴重な情報源になります。
能面:NOH-MASKS:寺井一佑
妖しくも美しく、変幻自在の表情を見せる能面。日本能面美術協会顧問、京都で能面製作・能面教室をしている寺井一佑氏によるサイト。50種類以上の能面をスライド形式で紹介している実に美しいサイトです。能面にご興味がある方には一番にお勧めのサイトです。
インターネットラジオ
インターネットラジオで様々なジャンルを網羅して紹介しているサイト。色々と調べてはみるのですが、なかなかないもの。辺にプログラムを懲りすぎたり、広告が多かったり。ともすれば音質がそれほど良くなかったり。やはり注目を浴びるサイトともなると著作権の絡みやサーバー維持費の問題などでまだまだ商売にはなりにくいのかなと思ってみたりもしています。

そんな中、最も信頼性が高いのが、前回紹介した skyfm 。個人的には、好みのジャンルがいまひとつかなーと感じていますが、一般的には最も推奨できるサイトだといって良いでしょう。今回は、その他にもポピュラー音楽をメインに配信している総合サイトを紹介します。
SKY.fm
全ジャンル総合
海外のインターネットラジオでも老舗中の老舗。ジャズやヒップホップ、ニューエイジからクラシックに至るまで様々なジャンルの音楽が紹介されています。音質・回線良好です。まずは、こちらをお気に入りに追加しておけば、気分次第ですぐに聴きたいジャンルを選ぶことが出来ます。

AccuRadio
全ジャンル総合
インターネットラジオの黎明期から活躍しているサイト。何よりもそのジャンルの網羅の仕方が半端じゃないです。音質はさほど良いといえませんが、かなりマニアックなジャンルまできちんと配信されています。独自のプログラムが起動して聞くことになりますが、まあまあ使いやすいです。配信している曲の情報も充実しています。こだわりのジャンルがある人にはお勧め。

Virgin Radio
ポピュラー音楽全般
“Classic Rock”や“Groove”などのポピュラー音楽のチャンネルがあります。ラジオを聴くには何処から行けばよいのかが分かりにくいのが難点。現在は、右上の“VIRGIN RADIO NETWORK”をクリックした画面から進んでいくのが分かりやすいようですが、それでも分かりにくいです (^^;)。音質はまぁまぁ。

MTV.com | Radio
ポピュラー音楽全般
MTVの公式サイトによるインターネットラジオ。ポピュラー音楽の様々なジャンルに対応し、チャンネル数も豊富。海外の最新ヒット曲をチェックするにはもってこいです。難点としては、広告が多いのが少々目ざわりかも。音質もそれなり。別途、画像配信のサイトもあります。
後 記
いままで様々な芸能・音楽を見たり聞いたりしてきましたが、一番感動したというか、心が根こそぎ持っていかれた体験をしたのは能楽です。

当時詳しく能楽の事を知らなかった私は、友人が≪鉄輪(?)≫を観世銕之丞氏が演じるがこれは多分当たりだろうとの意見を聞き、会場に足を運びました。

私は、演目が始まるときの囃子方の音でその日の出来は大体分かると思っていますが、その日の囃子方の音はまるで違っていました。縹渺と、縹渺と、ただひたすらに縹渺と……。実を言うと、観世銕之丞氏がどのように演じていたのか、そればかりかその日の演目が何であったのかすら今ではほとんど覚えていません。目に映った映像が、どのような物であったのか全く記憶にないのです。しかしその能は実に素晴らしい物でした。

観世銕之丞氏は体が切れて、抉り出すような演技をすると聞いていたのですが、それとは全く違っていました。演目は夫に裏切られ捨てられた女性の恨みの凄まじさを描き出した物でしたが、舞台にあったのは“恨み”ではなく、ただひたすらに“悲しい”という存在そのものだけでした。

観世寿夫
『世阿弥を読む』
平凡社ライブラリー
ただひたすらに“悲しい”。

舞台で演目が演じられていた間は、そのただひたすらに“悲しい”という存在だけに覆われ、何が起きていたのか全く覚えていません。しかし、ただひたすらに“悲しい”という存在に包まれ、演じ手とともに観客一人一人がただひたすらに“悲しい”存在を慰撫していたのです。

やっと私が思い出せるのは、演目が終わってから。その演目が終わった後の観客が全員、何か狐に憑かれたかのように呆けていた様子からです。凄い能を期待していた人たちにとっては明らかに外れの能だったのは確かでした。しかし、予想外の能でありながら何か引っかかってしょうがない。なぜか、どうしようもなく心惹かれてしまった。観客の様子は明らかに、その予想外の能とそれに対しての自分が感じ取った何かに対しての戸惑いでした。

完全に心が持って行かれてしまった私は、完全に茫然自失の状態になって夢遊病者のようにして帰りました。が、今でもそのときの感覚をまざまざと思い出すことが出来ます。あれは、実に一世一代の能でした。

知り合いが、良い能に当たるのは「交通事故に合うぐらいの確立だ(^^)」とよく言っていました。調べたところ、どうやらこのときの観世銕之丞氏。人間国宝が決定したから初めて、演じる能だったそうです。それはさぞかし気合が入っていたことなのでしょう。

最近は忙しくてなかなか能を見に行く機会がありませんが、友人の言うとおり、良い能に当たるのは交通事故に合うぐらい稀なこと。ほとんどが、途中で飽きて眠くなります。特に、国立能楽堂では難しい(^^;)

それでも皆さん!是非一度、足を運んでください。600年前の足利義満の時に花開いた能楽がいまの私たちの心にダイレクトに伝わってくることが感じ取れると思いますよ。
編集担当:中村 聡

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