音・感・和 : 自然音再生の琥珀音響工芸舎
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琥珀音響工芸舎・メールマガジン【東風】
心安らいだり、思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを紹介していきます。毎月1・15日配信です。
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第41号 : 平成18年2月1日
耳を澄まして聞こえてくる自然の響き。思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを見つけてみました。
http://www.onkanwa.com/
(毎月 1・15日配信)
2006/02/01 号
ご挨拶
1〜3月にかけて東京ではちょっとほっぺたの赤い学生さん。皆の流れからワンテンポ遅れている学生さんを見かけることが多くなります。大学受験のため上京してきた学生さんです (^^)

訳あってなかなか大学に入るのが遅れた私 (^^;) それだけに頑張れよーと言いたくなります。いまとなってはもっと勉強しておけばよかったと後悔することしきり。特に日本古典文学をみっちりと読んでおけばよかったということと、数学をもっと真面目に勉強しておけばよかったと地団太踏んで後悔しています。しかしそれももう後の祭り。

いま映画『博士の愛した数式』が公開されています。この作品の主題は数学がいかに美しいかということ。全くの下手の横好きですが、いまでは数学は美しいものであり、美しい物を美しいと思った瞬間の情感の発露そのものだと思っています。私はまだ映画は見ていませんが、多分実に美しいのだろうなぁと期待でワクワクしています。皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。
おすすめCD
Chembai Vaidyanathan Bhagavathar
Chembai Vaidyanathan Bhagavathar ( Vocal )
M.S.Gopalakrishnan ( Violin )
T.V.Gopalakrishnan ( Mridangam ) etc
( RPG : CDNF 147732 )
南インド古典音楽、カルナーティック音楽の横綱と言える大演奏家。パワフルで響き渡るヴォーカルでありながら、非常に緻密なテクニックと共にグイグイと引っ張る展開力が非常に素晴らしいです。天衣無縫。豪放磊落といった言葉がピッタリです。

ジャケットで見るとまるで大黒様のようで福々しいしい限り。一時期、全く声が出なくなり演奏活動が出来なくなった時期もありましたがアーユルヴェーダ治療を続け復帰。77歳で逝去するこまで精力的に音楽活動を続けました。。

何よりもその声のパワーは圧巻の一言です。衒いもなく轟き渡る声は、拡声器みたいだと称されることもあったそうです。赤ん坊が思いっきり泣いている声は、大人からすると絶対に真似の出来ない率直な声。大人の中の大人でありながらその丸裸の赤ん坊の泣き声のように率直で輝かしい声です。それとともに堅牢な構成感には聞いているうちに体の奥から元気が次から次へと湧き出てくること間違いありません。

カルナーティック音楽を聞く上で彼を抜いて語ることは出来ません。
⇒ソフト情報・購入先(世界の民族音楽の店 ZeAmi)
⇒試聴先(Music India OnLine)

Maharajapuram Vishwanatha Iyer
Maharajapuram Vishwanatha Iyer ( Vocal ) etc
( RPG : CDNF 147914 )
高い声域からカーン!と澄み切った声で演奏を始めるマハラジャプラム・ヴィシュワナータ・アイエール。実に穏やかで晴朗な歌い回しが素晴らしい演奏家です。チェンバイが東の横綱だとしたら、彼は西の横綱と言って良いでしょう。

最晩年は演奏会活動から引退して、もっとも尊敬する作曲家を祀るお寺で毎日毎日神様に対して歌を奉納していたという逸話からも、頭を低く感謝の念で溢れる歌声を想像していただけるのではないかと思います。特に十八番中の十八番とされていた“Mohana”と呼ばれる旋法を使った曲ではもう至高としか言いようがないものになっています。清々しく薫り立つ空気を胸一杯に吸い込み、穏やかなこころ。

1900年代前半に活躍した演奏家だけに音源はなかなかありませんが、聞いているこちらも感謝の気持ちが溢れてくるような演奏家です。
⇒ソフト情報・購入先(世界の民族音楽の店 ZeAmi)
⇒試聴先(Music India OnLine)

カッチェリ 〜 名匠クリシュナンの至芸 2
Ramnad Krishnan ( Vocal )
V.Thyagarajan ( Violin )
T.Ranganajan ( Mridangam ) etc
( ワーナーミュージック・ジャパン : WPCS-10722 )
往年のカルナーティック音楽の大演奏家達は、それぞれ独自の個性・魅力を放っています。その点、ラムナッド・クリシュナンの個性は非常に控えめです。ある意味ありきたりの演奏に聞こえてしまう側面もあります。しかし、聞けば聞くほど彼の演奏の素晴らしさがわかってきます。言うなれば正攻法の中の正攻法。中道を極めた最高のバランス感を持った演奏家と言って良いのかもしれません。

実際、その系譜を調べると彼の師はカルナーティック音楽の本流中の本流。その本流の音楽を変に個性で色を付けていくのではなく、じっくりと年を重ねることで熟成していった演奏家です。特にその演奏の中でも今回紹介したタイトルの2曲目の≪Aksayalingavibho≫は秀逸の一言。ヒタヒタと音楽的感興に満たされていきます。

カルナーティック音楽のソフトでよいのはなかなか手に入りにくいのですが、このタイトルは1970年代から手に入りやすかった物。スタンダード中のスタンダードがもっとも手に入りやすかったというのは非常にラッキーなことだったといまにしてみると思えます。
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⇒試聴先(Music India OnLine)

K.V.Narayana Swamy's Thyagaraja Samarpanam
K.V.Narayana Swamy' ( Vocal )
R.K.Sreeramkumar ( Violin )
J.Vaidyanathan ( Mridangam ) etc
( AVM : CD-093 )
2001年1月1日。私は南インドのチェンナイでその日を迎えました。その日のカルナーティック音楽のコンサートはいまでもまざまざと覚えています。その日の演奏は、K.V.ナラヤーナスワミでした。実を言うとその日の演奏はそれほど期待していませんでした。CDやカセットで聞いていた若いころの演奏ではピンとこなかったからです。しかし、実際に聞いてみて本当に驚きました。この時代にこれほどまでの素晴らしい音楽を演奏する方がいたということに。

一言で言うと『滋味』。おじいちゃんが赤ん坊の孫を大事に大事に愛しい目であやしているかのような。その滋味が音楽から溢れてくるのです。会場はその滋味で満たされて「幸福感」そのものとなっていました。芸能の最高の境地は寿福長寿だと思っていますが、まさにその寿福長寿そのものが音楽として奏でられていました。

改めて音源をそろえてみたところ、どうやら1990年代ぐらいから大化けしていたようです。今回紹介した音源の≪Hechcharikafa Ra Ra≫は時間がまるで止まってしまったかのような幸福感。是非とも一度耳にしていただきたい演奏家です。
⇒ソフト情報・購入先(世界の民族音楽の店 ZeAmi)
⇒試聴先(Music India OnLine)

Madurai Mani Iyer
Madurai Mani Iyer ( Vocal )
T.N.Krishnan ( Violin )
Vellore Ramabhadran ( Mridangam )
( RPG : CDNF 147894 )
水面すれすれを低空滑空し、再び空へと鳥が舞い上がっていく姿。マドゥライ・マニ・アイエールの演奏には、鳥たちの低空滑空のスピード感を思わせるものがあります。

まだ、カルナティック音楽の演奏家のことをそれほど知らなかった頃、たまたま買ったカセットテープが、彼の演奏でした。伴奏しているヴァイオリンとの掛け合いと軽やかにギャロップする太鼓(ムリダンガム)。低空滑空によって、地平の遠くまで晴れやかに真っ直ぐと伸び続けて行く。聞き手は、その鳥に乗って、空を飛んでいきます。その爽快感と、ワクワクとする気持ちといったら!

このタイトルでは、黄金のトリオとしか言いようのない3人によって演奏されています。その3人が相乗効果を生みだし、天才的なパッセージが次から次に繰り広げられます。軽やかに飛翔し続ける演奏は将に圧倒的なものです。

これ以外にもタイトルは出ていますがこのタイトルが一番のお勧めです。
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M.D.Ramanathan
M.D.Ramanathan ( Vocal )
T.N.Krishnan ( Violin )
Vellore Ramabhadran ( Mridangam )
( RPG : CDNF 147895 )
M.D.ラーマナータンの一番の特徴は深々と響く低い声と広々と壮麗な空間を感じさせる構成感。ゆっくりというよりも実に大きなテンポの中で音楽が展開していきます。

もっとも得意としていた曲などを聞くと、その荘厳な演奏はガッチリとした土台に何段も何段も組み上がっていく南インドの雄大な寺院を思わせます。まるで大きなガネーシャ神(ゾウの顔をした神様)がドシンドシンと見事な踊りを披露しているかのようです。丹田に音楽の深さがズシンときます。

ちなみにステージマナーは、結構問題があったらしく演奏会が終わる前にもじもじしているお客さんに対して説教したり、思いっきり鼻をかんだりすることもしばしばだったとか。。。(^^;) それも前時代的な空気感とも言える鷹揚な時間の中で音楽と向かい続けていたからなのでしょう。
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⇒試聴先(Music India OnLine)
おすすめサイト
world of Craft Puzzle
世界中のパズルを紹介。日本の組木細工や秘密箱を見るとその美しさと共に、何がどのようになっているのだろうと???組み合わせの妙によって様々な仕掛けがなされています。日本の組木細工の発展と共に西洋でも組木細工が発展。その技術を駆使して実に美しい工芸品となっていますパズル。パズルの美しさには数学的な美しさまで感じます。綺麗な工芸品であるもののその中身はと考えると目が回りそうです (^^;)
珠玉のデスクトップ・アクセサリ − フェルマータ・ソフトウェア
実に美しい「万華球スクリーンセーバー」を提供。まるで万華鏡でPCが飾られたように感じられます。光によって描かれる球状の幾何学文様は美しい野一言。時間をかけてプログラムされたソフト。その作品製作時のコラムなども興味深いです。フリー版もあります。
Geometric Toy : 幾何学おもちゃの世界
摩訶不思議な幾何学おもちゃを紹介。それぞれのおもちゃアニメーションや作り方の紹介も。何がどうなっているのかサッパリわかりませんが (^^;) アニメーションで紹介される動きを見ていると目が真ん丸状態で見入ってしまいます。JAVAアプレットで遊ぶも良しです。とにかく面白いです。
後 記
私は、高校のとき文系に進みました。中学のとき理科は大得意の科目だったのですが、数学が大の苦手。それはそれは惨憺たるものでした。しかし予備校に行ってからは一種のパズルを解く快感を覚えて、あっという間に点稼ぎの科目になりました。

しかしその栄光も長くは続きませんでした。高校に入ってからは元の木阿弥。いつもテストでは赤点スレスレ。「世の中そんな簡単に割り切れるものかい ! !」との開き直りで文系に逃げ込むことになってしまいました (T_T)

しかしいまではそれは大きな間違いだったと後悔しています。いまでは確信を持って言うことができます。数学はあまりにも美しい。

数学の本質は、世の中の事象が実にシンプルな数式によって表すことができる、そのシンプルながらも普遍的な美しさに感応する美的感覚・精神です。

藤原正彦 / 小川洋子
『世にも美しい数学入門』
筑摩書房
どのような三角形であってもその内角の総和が180度であること、すべての事象に黄金分割が見えてくることに対しての驚き。そしてなによりも円の中に正三角形が描かれたときの美しさ。

1+1=2であるのは当然といえば当然です。しかしそのことは実は大きな驚きであるような気がします。12という数字は、1でも2でも3でも4でも6でも割り切れます。これは大きな驚きです。その12という数字が持つ不思議さ。1年の月数も偶然ながらも12です。そういった不思議の連鎖の中に、古の人たちはそれぞれの数字が持つ神秘を見ていたのでしょう。その発展していったものが数学です。

南インド古典音楽のカルナーティック音楽は音楽だけを生業としていたブラーミンが長い年月を経て抽出に抽出してきた音楽です。その音楽の素晴らしさは数学的美しさと音楽の美しさ、それが見事に一致しているものです。

以前、テレビで数学者の藤原正彦氏が天才数学者の偉人伝をテレビで放映していました。非常に楽しい番組で知的好奇心をそそるものでしたが、中でも白眉は1900年代初頭、南インドから彗星のごとく現れた大天才ラマヌジャンの回でした。

彼の天賦の才は英国の数学界を驚嘆させるものでした。しかしブラーミン文化の背景、カルナーティック音楽が見ている地平を知っていると、ラマヌジャンのような人物は排出されるべくして排出された人物です。なぜなら彼がやっていた数学は、いわゆる数学ではなく、数学を使った音楽だからです。毎日のように提出される公式は世界を歌うさまざまな音楽のヴァリエーションだったのです。カルナーティック音楽を調べるとそれは明らかになります。

音楽を数学で奏でる。数学的な美しさは音楽の美しさでもある。自然の美しさは、数学的にも『圧倒的に美しい』。数学者の藤原正彦氏の本はそのことをシンプルに、かつしなやかな感性で伝えてくれます。ぜひ、一読をお勧めいたします。
編集担当:中村 聡

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