音・感・和 : 自然音再生の琥珀音響工芸舎
home | mail magazine | soft | link | internet radio | product | contact |
琥珀音響工芸舎・メールマガジン【東風】
心安らいだり、思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを紹介していきます。毎月1・15日配信です。
登録画面
バックナンバー
<< prev top next >>
第54号 : 平成18年8月15日
耳を澄まして聞こえてくる自然の響き。思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを見つけてみました。
http://www.onkanwa.com/
(毎月 1・15日配信)
2006/08/15 号
ご挨拶
もともと民族音楽とともにクラシック音楽も好きで聞いていました。世界各国の音楽を聞いているといわゆるクラシック音楽もヨーロッパを中心とする古典民族音楽なんだなということが見えてきます。そのことから変にクラシック音だからと身構えたり、過大に評価することもないと感じています。

日本人の長所でもあり短所でもあると思えるのが、日本の作品や製品を過小評価してしまうこと。西洋文化に対するコンプレックスもあるのでしょうが、クラシック音楽の邦人作品に対してはその傾向が顕著です。だけどDNAに刻まれている“血”は抗えないもの。ちょっと恥ずかしくても良いと思えるものは素直に良いと言ってしまえば良いです。そこで前回に続いて今回も日本人作曲家によるオーケストラ作品の特集。

他の国を本当に尊敬するには自分の国をできるだけ正しく見ることが大事なのではと思います。そのきっかけとして日本人のクラシック音楽に耳を傾けてみては?
おすすめCD
日本管弦楽名曲集
沼尻竜典指揮東京都交響楽団
( NAXOS : 8555071J )
1. 外山雄三 : 管弦楽ラプソディー

この曲が好きと言うのはちょっと気恥ずかしいほど開けっぴろげな“日本 !!”の名曲。NHK交響楽団が初めての海外公演を行ったときアンコールとして作曲されたもの。今では日本のオーケストラの海外公演で定番中の定番となっています。

その音楽はなじみの民謡のオンパレード。「あんたがたどこさ」〜「ソーラン節」〜「炭鉱節」。叙情たっぷりの「串本節」をフルートが奏でた後、ランチキ騒ぎの「八木節」で壮大に締めくくられます。そのまんまじゃん。芸がないのでは?と突っ込みを入れたくなる部分もありますが、奇麗事を全部取り払って、どうしようもなく体の内側から沸き起こってものが (^^;) 演奏はきっちりと叙情性を生かしながら清潔感を感じさせるもの。なかなかの名演です。

2. 近衛秀麿(編曲) : 越天楽

雅楽の越天楽をオーケストラに編曲したもの。

3. 伊福部昭 : 日本狂詩曲

“ゴジラ”のテーマで知られる伊福部昭が21歳の1935年に書き上げた最初の管弦楽作品。一曲目の「夜曲」はタップリと、それでいて物悲しさを湛えた叙情が素晴らしい名曲。二曲目の「祭り」は土俗的な迫力ある躍動的な曲。勇壮な祭り太鼓についつい体が動き出してくるあの感覚が湧き上がってきます。伊福部昭の代表作といってよいこの曲。多くの録音がありますがその中でも非常に良い演奏といって良いです。日本的旋律を清潔に、それでいて将に歌うように演奏しているのが素晴らしいです。特に「夜曲」は秀逸。「祭り」は非常に良い演奏ですが録音が魅力をとらえきれていないのが残念。

4. 芥川也寸志 : 交響管弦楽のための音楽

芥川龍之介の息子として知られ、テレビ番組の解説でも知られていた芥川也寸志。若き日の彼の代表作といえるのがこの「交響管絃楽のための音楽」。ちょっとジャズっぽい部分と当時のソビエト音楽の潮流の影響も見え隠れしますが、テレビで見せる紳士でダンディな姿よろしく、実にカッコイイ音楽です。演奏はこのCDの中でも最も良いものかもしれません。指揮者との相性が良かったのも大きいのでしょうが、何よりも録音エンジニアが音楽として把握できていたからでしょう。20世紀前半に作曲されたクラシック音楽が好きな人には是非一度聞いてほしい一曲です。

5. 小山清茂 : 管弦楽のための木挽歌

九州の木挽き歌を題材にチェロがタップリと歌う前半。その後、祭囃子をフルートなどがヒャラヒャラ。途中で木を切るのこぎりの音・木こりの掛け声が合いの手のように入り、最後には盛大に盛り上がって終わります。各楽器画家なでる日本的な響きが面白いです。

6. 吉松隆 : 朱鷺によせる哀歌

1953年生まれの吉松隆は現在最も精力的に活動している作曲家の1人です。その特徴はハッと思わず息を止めてしまうような美しさとリリシズム。その出世作であり一番の代表曲といってよいのがこの「朱鷺によせる哀歌」。1979年に絶滅が危惧されるようになった朱鷺をモチーフに消え行くものへのあこがれがテーマになっているとされています。現代音楽の様々な技法が使われているのですがそれが音楽と密接にかかわって実に儚く美しい音風景が広がっています。ちょっと耳新しい部分も多いかもしれませんが日本を代表する名曲です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
このCD。NAXOSという会社が「日本作曲家シリーズ」として世界発売をする手始めとして録音したものです。日本人作曲家、特に1960年以前の日本の曲をほとんど黙殺してきたクラシック界にとっては黒船来襲とでも言える出来事だったようです。

さて、入っている曲も全て選りすぐりの名曲揃いで手始めには一番のお勧めのものです。演奏も「世界に向けて日本人が日本人の曲を演奏する!」といった気概があって好感の持てるもの。しかし録音が正直言って酷いです。。。。

確かにいわゆる“オーディオ的には”良い録音なのですが、録音している側(海外エンジニア)がまったく日本的情感を感じ取れていません。そのため初めてCDを聞いたとき、あまりにも酷い演奏だと怒ってしまったほどです。改めてきちんと聞いてみると悪いのは演奏ではなく、録音だとわかりましたが……。ちょっとどうにかならんもんですかネェ。
⇒ソフト情報・購入先(Amazon.co.jp)
⇒試聴先(Amazon.co.uk)

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ 第一集
本名徹次指揮オーケストラ・ニッポニカ
野平一郎 ( Piano )
( Mittenwald : MTWD99011 )
1. 橋本國彦 : 感傷的諧謔

1928年の作品。当時はやっと日本人で管弦楽作品を作曲する人が増えてきたまだまだ黎明期。それだけに実に良くできた作品だなぁと感心はするものの、それ以上の+αを求めるのはちょっと難しいのかも。

2. 宮原禎次 : 交響曲第4番

1942年の作品。う〜ん。コメントしづらい。。。私としてはそんなもんかなぁー、で終わってしまいます。最後は賑々しく行進曲風に終わります。よくわかりません。

3. 大澤壽人 : ピアノ協奏曲第3番

このCDの目玉。1938年の初演の後、長らく演奏されていなかったのですが65年振りに蘇演されたものです。洗練されたオーケストラの響きとバネのあるリズム。それでいてどこかしら日本的な風味も感じる部分も。完全に西洋音楽を租借して自由自在に求める音楽を作り上げています。非常にスタイリッシュでお洒落な感じさえしてくる名曲。これから演奏会に上るのも少しずつ増えてくるのではないかという気もします。NAXOSから同じ曲が発売されていますがこのCDの方が演奏・録音共に遥かによいです。近現代のクラシック音楽好きは一度手にとって見ることをお勧めします。
⇒ソフト情報・購入先(HMV.co.jp)
⇒試聴先(シャッツグレーバー)

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ 第二集
本名徹次指揮オーケストラ・ニッポニカ
ニッポニカ・フェスティバル・コーア (合唱) etc
( Mittenwald : MTWD99011 )
1. 早坂文雄 : 管絃樂曲「讃頌祝典之樂」

「羅生門」、「七人の侍」、「雨月物語」の映画音楽を手がけたことで知られる早坂文雄の1942年の作品。正直言って私にはピンときません。茫洋として芯がどこかつかみにくい感じです。28歳での作品なので習作と言ってよい位置付けなのかなという気も。

2. 信時潔 : 交声曲「海道東征」

オーストリアやチェコ、フィンランド、イギリスなどでは第二の国歌として人々が心から大切にしている曲があります。西洋音楽を受容するのに追われて日本では心から感じ入ることのできる曲はできなかったのかなぁ、といつも思っていました。そのように感じ入れる曲というのはシンプルで華美でないもの。それでいてしっかりとした実のあるもの。特にその国々の古事に由来するものと触れているとなお良いという特色があります。

昔話や神話を子供のような心で感じ入り作曲するには今の日本人はちょっと賢くなり過ぎているのかもしれません。それだと今の時代にそんな曲が生まれるのは無理。かと言ってそれにふさわしい曲は残っていないのだなぁ、といつも残念に思っていました。そんな時たまたま耳にして大喜びしたのがこの「海道東征」です。

独唱と合唱を伴って演奏されるこの曲は1940年に“皇紀2600年”を祝して作曲されたもの。日本神話でカムヤマトイハレヒコが高千穂から船に乗って東へと向かう場面を題材としています。旅に向け晴れ晴れと希望に満ちたその場面を北原白秋が作詞し、「海ゆかば」の作曲者である信時潔が音楽を付けるという贅沢極まりない作品です。作曲された背景とその時期、題材となっているものがものだけに戦後は完全に無視されてきた曲です。しかし !! 純粋に音楽として絶賛する他ないと言ってよい名曲中の名曲です。

何よりもひとつひとつの言葉、歌詞の響きの美しさ。そしてその語感のイメージをより一層豊かにしてくれる過度にならないシンプルな音楽。何よりも日本語の語感の生かし方のツボを心得ているといったらよいのでしょうか。戦後になると失われていった元々の日本人が持っていた親密さ、真摯さ、謙虚さ。遠く江戸時代、それ以前にまで届くようなまなざし。その中で作曲者が頭低くして素直に浮かんできたものをそのまま書き記したような、音楽となっています。信時潔が書いた曲ではなく、“日本人”という大きな人格が信時潔の手を借りて書き記したといっても良いでしょうか。

私はこの曲を聴くたびにありがたいことだなぁと感謝します。変に新しいことばかりにとらわれることなく自らの等身大の姿をそのまま受け入れ、背伸びせずに表現ができていた時代。その素朴であった頃の日本でこれだけの名曲が残されていたことに心から感謝する気持ちが沸いてきます。純粋に音楽として素晴らしい曲です。日本語の語感の美しさ。自信を持って一聴をお勧めします。

3. 芥川也寸志 : 赤穂浪士のテーマ

アンコールで演奏された曲。赤穂浪士が静々と雪の中を歩いていくときに使われていたあの音楽です。緊張を高めるパシンッと鞭の音が印象的です。
⇒ソフト情報・購入先(HMV.co.jp)
⇒試聴先(シャッツグレーバー)
おすすめサイト
屋久島リアルウェーブ
屋久島の歴史や行事から各種観光情報まで何から何まで情報満載。島に移住した人たちのリンクや様々なお店の紹介など貴重な情報が一杯です。屋久島の情報を集めるならここが一番のおすすめ。
屋久島観光協会
屋久島観光協会の公式サイト。屋久島の観光情報のほか島へのアクセス、交通案内や宿泊施設案内、ガイドの紹介、お天気情報など。屋久島にご旅行の際、情報がぎっしり詰まったサイトです。
世界遺産屋久島
1993年に世界遺産として登録された屋久島。一ヶ月に35日もの雨が降るといわれるほど水に恵まれた島です。その気候から有名な屋久杉が育っています。その屋久杉の中でも有名なものの詳しい紹介から様々な観光案内まで。ギャラリーコーナーの写真がなかなか綺麗です。
後 記
木村元彦 (著)
『オシムの言葉』
フィールドの向こうに
人生が見える
集英社
会う人ごとに「今度のサッカーのWCは凄いことになるかも」と言っていました。それというのも今年の大きな流れからの見立てから。しかしその結果は見ての通り。さぞかしがっくりしているのかと思いきや、さにあらず。「そうは簡単にはいかなかったか、甘かったか……」というのが感想。

それというのも今回の結果はあまりにも妥当ということを前もって感じていたから。友人にサッカーにとても詳しい人物がいていろいろと教えてもらっています。その友人との共通見解としては、すでに四年前にジーコ監督が就任した時点でチームが強くなるのは絶望的である、と。総監督としては非常に素晴らしい人物だけど、現場監督はねぇ……。恐らく失われた四年間になるのだろうな、と。

しかし今年に入って、日本全体の大きな流れでは面白い流れができている。もしかしたら“神風”が吹いて「運」だけでいけるのではないか !! 曲がりなりにも勝ち進んでみんながワイワイ楽しむ様子を見れたらよいなと思っていました。しかしさすがに甘かったですね (^^;) 実力どおり、あまりにもまっとうな答えが出てしまいました。

その友人と二年前、盛り上がっていたことが一度ありました。それは二年前のWC予選、シンガポール戦の前。このときもし引き分けか敗退ならジーコ監督の解任は決定的でした。そのとき、次期代表監督として最初のオファーをされていたのがオシム監督。その情報が漏れ伝わってきたときはもう大喜びでして「お願いだぁー、負けてくれー !! 」と。残念なことに試合の結果はロスタイムに決勝点が入ってWCへと続くことになってしまいました。

もともとスポーツを見るのが好きというよりも、それを見て喜んでいる人たちを見るのが好きな性質。そのため本気で特定のチームを応援するということはないのですが、今回のオシム監督は本気になって応援したいと思っています。世界のサッカー界で知らない人はいないといってもよい名将中の名将。何でこんな日本に来ているのかが理解できないほどの人物です。

その実績として1990年のWCでユーゴスラヴィアを率いてベスト8と言われていますが本当はそれどころではないんですね。ベスト8で敗れた相手はマラドーナを擁し準優勝となったアルゼンチン。そのアルゼンチンに退場者が出て10人で戦ったのにもかかわらず、終始責め続けPK戦での敗退。その戦い振りは強烈な印象を残しました。それだけに90年のWCではもっとも印象的なチームのひとつであったといってもよいのです。それだけでなく、92年のヨーロッパ・カップの予選ではぶっちぎりの強さを見せ優勝候補筆頭でした。しかし悲しいことにユーゴスラヴィア内戦のため、Euro1992のスウェーデン大会は直前で出場停止となってしまい、ユーゴスラヴィアは崩壊してしまいました。もし、ユーゴスラヴィアが国としてそのまま残っていたならばEuro1992のみならず1994年のWCアメリカ大会でも優勝候補筆頭とされていたに違いないとする人は数多くいます。その基礎を作り率いていたのがオシム監督です。

木村元彦
『終わらぬ「民族浄化」
セルビア・モンテネグロ』
集英社
そんな人物が日本にいる。それだけで信じられなかったのですが、その人物がなんと日本代表監督をやってくれる。それだけでなく、それ以上に「日本人の特性を生かした日本サッカー」を提示しようとしている。

恐らくそのサッカーは、勤勉にコツコツと、そして生真面目に一生懸命走り続ける。自分が目立とうとするのではなく全体で協力しながら地道に誠実に戦う。そしてインチキをせずに正々堂々と戦う。それが本当の意味でのベースになるのでしょう。

それは、日本人がもともと持っている一番の美質。“プロジェクトX”などで見てきたあの姿勢です。

サッカーというのはその国民性が如実に現れます。それで言うと日本サッカーというのは必ずあるはずのもの。それを目に見える形で示してくれる。それを見ることによって、多くの日本人が日本人においてもっとも誇るべきものは何であるのかを感じ取っていくのではないか。日本人が日本人の美質に誇りを持ち始める大きな象徴としてこれからのサッカーの日本代表はなるのではないか。

そこまで思わず期待してしまう今日この頃。知れば知るほどこのイビチャ・オシム監督というのは魅力的な人物です。それと同時にユーゴスラヴィア内戦の愚。それを象徴する形でサッカーがあったこと。その中心にいたのがオシム監督であったこと。その人物が日本にいるということ。ベストセラーになっている「オシム語録」こと「オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える」なども出ていますので一度手にとってみてはいかがでしょうか。
編集担当:中村 聡

【ご意見・お問い合わせ】 : mailing@onkanwa.com

☆メールマガジンの購読登録・停止はこちら
http://www.onkanwa.com/mailing/form.html

※このメールマガジンはhtml形式で配信されています。
発行:琥珀音響工芸舎
Copyright(c) onkanwa.com All rights reserved.
<< prev top next >>