音・感・和 : 自然音再生の琥珀音響工芸舎
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琥珀音響工芸舎・メールマガジン【東風】
心安らいだり、思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを紹介していきます。毎月1・15日配信です。
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第68号 : 平成19年3月15日
耳を澄まして聞こえてくる自然の響き。思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを見つけてみました。
http://www.onkanwa.com/
(毎月 1・15日配信)
2007/03/15 号
ご挨拶
例年にない暖かい冬だっただけに桜の開花も今回のメルマガ配信時には書くことになるのかなと思っていましたが寒の戻りで予想以上に桜の開花は遅れてしまっているようです。

先だっては日本全国大荒れでしたが、上空の雲の樣子など見ると日本列島をおっきな龍神さまが回り込んでいるようでした。地震・雷・台風が大好きな不届き者の私としてはやっぱりこうこなくっちゃと(^^;)そうは簡単に春は来なかったなぁと。

今年個人的に嬉しいのは暖冬のお陰で今年のスギ花粉はもうほぼ終了。天気がよくて風が強い日が多かったのでかなり早めに店仕舞いしてくれたようです。さてさて、あと一週間もすると回りはみんな花見だ花見だとで浮かれることになるのでしょうね。春です。
おすすめCD
長唄 芳村伊十郎 : 京鹿子娘道成寺/梅の栄
芳村伊十郎 (七代目) その他
( コロムビア : COCF70096 )
舞台は桜満開の道成寺。安珍清姫伝説で知られる道場寺の鐘の供養の日。そこにあらわれた白拍子が舞を舞ううちにその本性である蛇の姿になって恋の舞を舞う日本舞踊界最高の演目と称されています。主題となっているのは桜満開の下、恋にとらわれた女性の艷やかさと儚さをいかに演じるかであって、ストーリーはいわばおまけ。

その舞踊の部分と同時に長唄も代表的な演目として知られています。ここで唄っているのは昭和31年に人間国宝に認定された七代目芳村伊十郎。その美声は何とも艷っぽく、まるでしなだれかかってくるようです。それだけに儚げでありながら美しいこの演目には相性が抜群です。まるで匂い立ってくるような最高の演奏です。
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21世紀への遺産 日本伝統音楽(5)歌舞伎
市村羽佐衛門 (十五代目)、松本幸四郎 (七代目)
尾上梅幸(六代目) その他
( コロムビア : COCJ30695 )
戦前の歌舞伎界を代表する伝説的名優たちの名場面・名台詞集。中でも誰もが認める美男子で爽快な台詞回しで大立者とされていた十五代市村羽佐衛門と「船弁慶」の弁慶役には並ぶ者なしと称された七代目松本幸四郎を中心に集められています。

歌舞伎が一般的にも支持があった時代だけに音の隙間から良き時代の空気感も伝わってくるようです。やはり当代きっての演者だけにどれも台詞回しは素晴らしい!「先代は、いやいや先々代は」との話を聞くことは多いですがそれも頷けます。
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歌舞伎名台詞集 : 知らざぁ言って聞かせやしょう
坂東彦三郎 (六代目)、尾上菊五郎 (六代目)
市川男女蔵(四代目) その他
( 日本伝統文化振興財団 : VZCG536 )
歌舞伎の魅力のひとつが各場面での台詞回し。語り口次第で場面が生きてきます。その台詞回しを昭和初期の歴史的名優が残したSP録音の復刻集です。

タイトルにもなっている名台詞「知らざぁ言って聞かせやしょう」を語る弁天小僧役は六代目尾上菊五郎。発音、テンポ、調子の三拍子が揃った浮かび上がってくる日本語の美しさ。その言葉の音の響きの美しさに誘われて、まるで華やかな舞台が目の前に広がってくるようです。日本語の美しさに聞き入ってしまうこと間違いなしです。
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おすすめサイト
歌舞伎美人(かぶきびと)|歌舞伎公式ウェブサイト
歌舞伎の公式ウェブサイト。歌舞伎公演の情報や歌舞伎ニュース、歌舞伎に関する読み物が掲載されています。江戸文化紹介の充実した読み物をはじめ、歌舞伎メルマガや、歌舞伎スクリーンセーバー、歌舞伎ティッカーなども楽しめます。
かぶきのおはなし
歌舞伎に関する「よもやまばなし」。歌舞伎についてわかりやすく楽しいエッセーと素敵なイラストが満載です!ずっと更新されていないようですが丁寧で分かりやすい文章から歌舞伎の楽しさが伝わってきます。
日本の伝統芸能 じゃぽ音っと【日本伝統文化振興財団】
ビクターエンタテインメント株式会社を基金元として1993年に設立された文化庁管轄の公益法人。人気が高いものばかりでなく、学術的にも非常に貴重な音源の紹介を地道に続けているのには頭が下がります。邦楽豆知識が使いやすくお勧め。
日本の伝統音楽
コロムビアミュージックエンタテインメント の邦楽紹介サイト。日本音楽の歴史から日本の歴史、楽曲分類、楽器の紹介までひと通りの情報がまとめられています。
後 記
最近、黒川伊保子「日本語はなぜ美しいのか」という本を読みました。著者は「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」を何年か前に発表してかなり話題になり、最近ではテレビや雑誌などにも出ている方。今回の著書は母国語の大切さと日本語が世界的にも非常に珍しい言語であるということが書いていることのことで手に取りました。

話題になっていた「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」で書かれているのは、音の響きとイメージ連鎖。それが一緒になっているものほど私たちの意識に強く訴えかけるというもの。古典などの謡・詩などを読むとそんなことは改めて言うまでもないことなので「ふぅ〜ん、そんなことを取り上げてんだ」と気に求めていませんでした。

このことについて少し説明すると、芭蕉の有名な一句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」。この一句は“Si”の“i”の音のイメージが何度も繰り返されています。そして結びに向かって“Si”→“e”と音の響きが流れています。その音の效果、つまり蝉時雨の“Si”の音から“e”と音の作り出すイメージが広がることで、同樣に目の前に映像が広がる効果を導いています。素晴らしい謡・詩は必ず言葉の「意味」と「調子」と「響き」の三つが調和しているものです。そのことをいつも思っていたので、何をいまさら。。。というのが正直なところでした。しかし今回の著書は母国語の重要性、日本語の特徴について書いてあるとのことで手に取った次第。

で、驚きました。とっくに私が芭蕉の一句で思い至っていたことなんか言語学の世界ではとっくにやっているのだろうと思っていたのですが、そんなことはなかったのですね(^^;)それとそんなことに思い至るのは日本人だからこそということが分かって驚きました。どうやらインド=ヨーロッパ語族の言語体系を絶対視しているいまの学問の世界では、日本語は亜流中の亜流であるということ。しかし実際には最も自然な言語であるということ。それだけに著者も同樣の「こんなの当然でしょ」と思いつつ発表したところ予想外の反応に驚いたというのが真相だったようです。

日本の伝統芸能で好きなもののひとつに狂言があります。その狂言を研究しているチェコ人の話を以前テレビで見たことがあります。その研究者によると、日本語の特徴としてあげられるのが擬音語・擬態語が非常に豊富だということ。その擬音語・擬態語を駆使して演じられるのが狂言だとのこと。その狂言をその研究者は、チェコに戻って研究発表として演じたところみなその擬音語・擬態語が何を示しているのか全て正確に理解し、心から堪能したとのことでした。つまり日本語の擬音語・擬態語は世界共通で通じるもの。

この著書では擬音語・擬態語のことは書いていませんが、世界に通じる擬音語・擬態語をこれほどまでに豊富に持っている言葉は少ないようです。その原因として考えられるのは、日本語の最大の特徴、母音を主体にしている言語だということ。

もう世界の圧倒的主流と言ってよいインド=ヨーロッパ語族の言語は子音中心。母音はほんのおまけ。それがどうやら擬音語・擬態語が少ない背景にあるようです。そう言えば海外に扼された漫画で「ブーーン!」というのを「Boooon!」と訳したところかなりの人が途惑ったそうです。というのも「oooo」と母音が伸ばされて意識化されたことが無かったため ??? となっていたのだそうです。今ではそのような擬音語・擬態語の表現はかなり伝播してきていて、各国の表現のひとつの方法として定着しつつあるのだそうです。

母音を主体に世界を見ている人たちと子音を主体に世界を見ている人たち。著書でも書かれていますが、その見ている世界というのは、例え同じものを見ていたとしてもまるっきり違う見方をしているのかもしれません。日本語はやっぱこれほどまでに特殊なんだなぁと感慨に耽るのと同時に、ちょっと威張りたくもなった次第でした。
編集担当:中村 聡

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