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琥珀音響工芸舎・メールマガジン【東風】
心安らいだり、思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを紹介していきます。毎月1・15日配信です。
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第98号 : 平成20年6月15日
耳を澄まして聞こえてくる自然の響き。思わず笑みを浮かべてしまう音楽などの情報、サイトを見つけてみました。
http://www.onkanwa.com/
(毎月 1・15日配信)
2008/06/15 号
ご挨拶
何か運動をしている?と聞くと最近聞くことが多いのがウォーキング。ウォーキングが紹介された当初はただ歩くだけで?と思われていた向きもあると思いますが、今では広く浸透してきているのかと思います。

東京だと駅まで歩いたり移動には案外と歩く機会が多いです。もともと歩くのは大好きで、かつかなり歩くのが早いので、いつの間にか日常的にウォーキングをしているということになるようです。だけどこれは運動ではないでしょ(^^;)という感じです

都心で飲み会が遅くなった時、次の日が充分に休めるスケジュールのときは基本的に徒歩で帰ります。吉祥寺に住んでいたときも頻繁にやっていて新宿-吉祥寺間の所要時間は大体3〜4時間。タクシー代をケチってケチンボの意味合いもありますが、案外楽しいものです。実はこれは帰宅難民とならないよう予行演習の意味合いもあります。やはり実際に自分自身の足で感じる距離感は、いざというときのためにも大切にしたいところです。
おすすめCD
Songs of Survival: Traditional Music of Georgia
Various Artists
( Topic Records : TSCD935D )
カスピ海と黒海との間に位置するコーカサス地方。その黒海寄りにあるグルジアの音楽において顕著なのは男声合唱などの合唱音楽が非常に充実しているところ。それとともにバグパイプなどの楽器の使用等もあって中央アジアの音楽の中でもアジア的要素よりもヨーロッパ、特にバルカン半島の音楽を思わせる部分があるのが興味深いところです。以外とトルコ的な風味を感じないのが不思議なところです。

アラブ・ペルシア音楽との親近性が薄い背景を考えると意外と面白いところが見えてきそうです。欧州に顔を向けていながらも“血”としてほんのりとアジアのスパイスが見え隠れする。それとともに欧州に対しての憧憬が強烈に内在化しているとでも言えるでしょうか。東欧、特にバルカン音楽が好きな人には押さえておきたい音楽です。
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Songs of Defiance : Music of Chechnya and the North Caucasus
Various Artists
( Topic Records : TSCD934 )
カスピ海と黒海との間に位置するコーカサス地方。そのちょうど南北の真ん中で分かっているのがカフカース山脈です。そのカフカース山脈の南北、そしてその東西ということでカフカース地方は分類されると考えると大方間違いではありません。ここで紹介されているのはそのカフカース山脈の北側の地域・国々です。

合唱音楽が盛んなグルジアと比べるとここの演奏家の技量に焦点が当てられるところが多いのかなと感じるのがこの地域の音楽。悲しみを深々と湛えるように歌い上げるというよりは、かなり勢いに任せ、カラッとしたところが特徴的である気がします。それとともに不思議な調合での中和と言えるのでしょうか。世界各国の民俗音楽と似ている部分が、コレッ!と指摘できるところもない反面、独自の音楽的魅力を放っているわけでもない。ある意味、全くの空白地帯の音楽とでも言えるでしょうか。

一般的には視聴するに値する音楽であるとは言えないのでしょうが、アジアから欧州に達する音楽の様相を見ていく上では実は最も注視しなければならない地域のひとつなのかなと思います。音楽を楽しむということではなく、好学目的ならば聞いてみて損はないかも。
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Alim Qasimov Ensemble : The Legendary Art of Mugham
Alim Qasimov ( Vocal ) etc
( Network Germany : 39317 )
資料的な意味合いではなく、カフカース地方で純粋に音楽的に魅力的なものが多いのグルジアの合唱、アルメニアのドゥドゥック。そしてアゼル バイジャン。その中で知る人ぞ知る魅力的音楽の地域として注目を浴びているのがアゼルバイジャンです。中でもヌスラット・ファテ・アリカーンに 次ぐスター歌手として注目する向きもあるアリム・カシモフが特にチェックするべき演奏家です。

ヌスラットの熱狂的な恍惚とは違い、ペルシア音楽のタハリールを思わせる身をよじらせつつ高みに上っていく歌声。それは儚く思い焦がれつつも決して辿りつくことない天上の世界に対しての恋心を歌い上げるかのよう。高く、そして遥かに高く歌い上げる張りのある歌声は実に素晴らしいです。中東音楽・中央アジアの音楽の中でも最も素晴らしい音楽がここにはあります。
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おすすめサイト
東海道一人旅
自分自身が実際に歩いているかのように感じられるほどの臨場感。ずっと歩いているときに目に入るのはただその風景のみ。風景に感じ入るのはほとんどわずか。しかしその瞬間の驚きとともに、何も感じない時間が過ぎ去っていくのが心地よい。徒歩でしか味わえないその感覚を見事に紹介しています。思わず読み入ってしまう文章が素晴らしいです。
東海道放浪記
東海道・中山道・甲州街道・日光街道等の旧街道歩きに関する道中記。シンプルなつくりですが、逆にそれだからこそ一歩一歩歩いて感じた情報が光っています。徒歩でしか味わえないたびの魅力を伝えた素晴らしいサイトです。
東海道五十三次をゆく
ずっと更新はされていないようですが歴史的なマメ知識や街道の各街道の成り立ちが簡潔に、かつ的確に紹介されています。東海道をはじめとする江戸時代に整備された街道。その時代に生き生きと息づいていた宿場町やその道すがらの様子が見えてくるようで楽しいです。
後 記
最近見ていたニュースの中で面白いと思ったもののひとつにガンダムの屏風絵が6300万円で落札されるという衝撃というものがありました。海外では村上隆をはじめとする日本のフィギュアなどが法外とも言える価格で売買されていたりしているので落札価格にはさほど驚きはありません。そしてその表現されている中身もピンと来ません。一言で言うと「何も分かっていない外人が好きそうな絵だな」と。とてもお金がたくさんもらえそうな軽薄な作品だなと。

実際のところポップ・カルチャーというのはその軽薄さが売り。そのことから考えると非常にポップ・カルチャーとして正統的な作品。

ポップ・カルチャーというのは前時代的な古臭い美術界の枠に留まっているものでしかないというのが私の考えです。結局のところ、20世紀現代芸術の本質は美しいかどうかではなく、コンセプトが興味深いかどうかの単なるコンセプト・アートでしかなかった。つまりどれだけ奇をてらって、そのコンセプトが面白いのか。所詮、頭でっかちのものでしかない。

ポップ・カルチャーもそのコンセプト・アートの枠内に留まっているもの。そのためポップ・カルチャーの担い手に共通するのは「時代の先端を担うことを自認する、存在の根拠としている価値観」です。次代の先端を担う「新しい」に対して非常にこだわりを持つ。

しかし時代の先端を担うことを自認する、存在の根拠としている価値観は必ず時代に追い抜かれる。これが私の持論です。その彼らにとって時代とズレつつあるというのは自明のこと。彼らの作品は身近なお金を得ることはできるでしょうが、単なる時代の徒花に終わるというのが私の結論です。

そんなことを考えながら記事を読んでいたのですが、色々とリンクを辿って行くうちに見つけたのが「小松孝英GALLERY」。ここで紹介されている作品を見て驚きました。これは自分自身で美しいと感じている部分に迷いがない。その迷いのない表現をする人物がとうとう20代から出てきた。


ひとつ興味深いのが、彼が純粋な日本画から出てきた人物ではなく洋画・デザインから来た人物であるということ。

表現は非常に拙い部分がある。それ以上に実は日本の伝統と「切れている」ことを強く感じます。いわゆる日本画の中からだと彼のような表現を迷いなく描くことは不可能です。もしやったとしてもどこかでコンセプト・アートになってしまう。しかしその迷いが彼の絵にはない。それは日本画などが培ってきた伝統と実は切れているからなのではないかと思います。

恐らくは彼が美しいと感じているものは「再発見」したものなのではないかと思います。一度、切れているからこそ自分の中にない異物として再発見できた。再発見ということにおいては、海外の製作者としてなんら変わるところがない。しかし日本人としての“血”の部分の共鳴が彼の作品が魅力的なものとして成り立たせている背景なのでしょう。

残念ながら「伝統」は切れてしまった。しかし「伝統」は切れても日本人にしか持ち得ない“血”だけは否定できない。その“血”を感じさせる作品がとうとう出始めてきた。

個人的には全面的に触手をそそられる作品ではないのですが、この作品が内包している方向性は非常に興味深い。多分、これから様々な形で20代の作り手から同様の方向性を持ったものが数多く出てくるのだろうと思います。これからいろいろと面白いものを見たり、聞いたりすることが増えてきそうだなと期待が膨らみつつあるこの頃です。
編集担当:中村 聡

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