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| Stephane Grappelli (Violin) etc |
| ( Denon Records : 77130 ) |
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笑顔を振りまいているヨボヨボのおじいさん。ヴァイオリンをひとたび構えると生き生きと喜びに溢れた音楽を次から次へと績ぎ出していきます。ステファン・グラッペリの演奏を聴くと人生はこれほどまでも美しく素晴らしいものなのだと感じます。
晩年の演奏を聴いていると、最高の年の取り方として憧憬を禁じえないグラッペリですが、若い頃にはかなりスタイリッシュな演奏を残しています。1930年当時のパリを席巻したギターのジャンゴ・ラインハルトとのアルバムでは「粋!伊達男!」といった言葉がピッタリです。晩年の滲み出てくる幸せ一杯の情感。それが大好きな私には、若き日ののグラッペリには、指をくわえながら「カッコイイなぁ、モテたんだろうなぁ……」と思いはするものの、いまひとつピンときません。
しかしその頃の色々な人生経験なのでしょうか (^^;) グラッペリの独特の艶っぽさは晩年に突然花開いたものではないのだろうと思います。実際、ジャンゴと花形演奏家になる前のグラッペリは、食いっぷちを稼ぐために流しの芸人みたいなこともしていたようです。そして恋人たちがひと時を過ごしているようなアパートなどの前で音楽を奏で、良いときには“おひねり”たっぷり、酷いときには“バケツの水”をたっぷり頂いていたそうです。目には見えないけどその様々な体験が、秘することで熟成されていったのでしょう。
1908年生まれのグラッペリが1990年に二度目の来日をはたした時のライブ録音がこちらです。軽やかでご機嫌!の演奏は彼の数ある演奏の中でも指折りのものです。それとお客さんに向かって「どうもありがとう」を間違えて「モ〜ド、モ〜ドアリガトウ♪」と言っても、お客様も心から楽しそうにニコニコとしている様子が目に浮かぶようです。実に心温まる最高のコンサートだったのだろうなぁと思います。
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| Lester Young (T.Sax) ・ Teddy Wilson (Piano) |
| ( Verve : 831270 ) |
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実は小さい頃からドリフターズの「8時だよ!全員集合」を見てジャズを聴き始めている背景がある私は、いわゆるモダンジャズというものに今ひとつ心惹かれるものがありません(^^;)ゞ それよりもカウント・ベイシーなどのノリノリのジャズバンドなどの演奏のほうがしっくりときます。
そのベイシーが一番強力なメンバーを揃えていたと言われるのは戦前です。その戦前でも中心的プレーヤーとして輝いていたのがサックスのレスター・ヤングでした。
厳格な父親の下でドラムを演奏していたことも大きな背景としてあるのでしょう。彼の演奏にはゆっくりとした曲でもアップテンポな曲でも独特のノリの良さがあります。それでいながら繊細で流れるような歌い回し。
逆にその繊細な心から軍隊に召集されると大きなショックを受け、戦後は戦前のような天才的な煌きを見せることはなくなり世を去ることになりました。しかしその戦後の彼の演奏の中で別格の評価を受けているのがこちらの作品。
メインの演奏家の邪魔にならずそれでいながら、出るところはしっかりと出るというテディ・ウィルソンの絶妙のサポートに、気持ちよく演奏しているのが目に浮かぶかのようです。レスター・ヤングの一番の特徴は『歌心』だと言えますが、リラックスした雰囲気から奏でられる歌!歌!歌 !! 柔らかく繊細で優しい演奏に包まれるとすっかり寛いでしまうことでしょう。
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| Ella & Louis : Ella Fitzgerald, Louis Armstrong |
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エラ・フィッツジェラルド ( Vocal ) ルイ・アームストロング ( Vocal, Trumpet ) |
| ( Verve : 543304 ) |
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ジャズ・ヴォーカルの女王エラ・フィッツジェラルドとジャズ界の巨星ルイ・アームストロングが共演した傑作中の傑作として有名な録音です。モダン・ジャズ以降のジャズというとクールさやダンディな音楽が中心。対してそれより少し遡るジャズ黄金期を飾る二人の音楽は、何処までも温かく心を包む穏やかで、限りなく優しい音楽です。
ジャケットの写真そのままに包容力タップリに微笑むエラ。そのエラのヴォーカルに、渋く味わい深いルイ・アームストロングのヴォーカルとトランペットが絡んでいく様は絶品です。ジャズというジャンルを超えて、誰が聞いても心にあったかくなる素晴らしさ。これを聴かずして、心に響く音楽のことを語って欲しくない!そこまで思わせるほどの名盤です。是非、一聴をお勧めします。
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| 美空ひばり ( ヴォーカル ) |
| ( コロンビア : CA4545 ) |
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美空ひばりの歌うジャズ・スタンダード。これが実に素晴らしいとの話を知り合いから聞いたとき、美空ひばりだったらもちろんかなりのレベルでの演奏をしているのだろうとは思っていました。が、実際にその歌声を聞いて、そりゃーもうビックリしました (^^;) すっすっ凄い。。。
中でも絶品なのが、英語の歌詞をそのまま歌っているもの。発音は完璧で、歌いまわしもこれ以上ないと言えるほど見事な歌となっています。その上手い!というだけでなく、そこに美空ひばりからしか聞くことの出来ないひばり節がほんのりとスパイスとして効いていて「日本人にしてここまで出来るのか……」と思える音楽になっています。実際、世界のジャズ・ヴォーカルという区切りの中で捉えたとしてもこれだけのレベルで演奏しているのはそうないと思えます。何より単なるコピーでなく、完全に自分自身で消化しきって、自分の心の内から溢れてきた形で演奏しているところが素晴らしいです。
美空ひばり以降、日本の様々なミュージシャンが、ジャズ・ヴォーカルにチャレンジしてきましたが、いまだに美空ひばりを超えるものはないと思います。色眼鏡をかけることなく、素直に耳を傾けると目から鱗が溢れてしまうこと確実です。戦後日本の音楽を考えると、今こそ聞くべき一枚と言ってよいのかもしれません。
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| SAMMY DAVIS, JR. sings LAURINDO ALMEIDA plays |
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サミー・デイヴィスJr. ( Vocal ) ローリンド・アルメイダ ( Guitar ) |
| ( Collector's Choice : CCM0494 ) |
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戦後アメリカを代表するエンターテイナーとして知られるサミー・デイヴィスJr.。あまりにも華々しい活躍のために、逆に彼の音楽の表現力は影に隠れがちのような気がします。サミー・デイヴィスJr.がその実力を最大限に生かしたとも評されるのが、この録音です。
サミー・デイヴィスJr.がここで共演しているのは、ブラジルを代表するギタリストの一人で、ボサノヴァの誕生に大きく貢献したとも言われるローリンド・アルメイダ。ヴォーカルとアコースティック・ギターの伴奏だけという最高にシンプルな編成であるが故に、互いの力量が非情なまでに露わになってしまう。その力量を測りながらでしゃばることなく互いのよさを引き出しつつ、決して自分の色を失わない。静かに、しっとりとした音楽の流れの中に、凛とした緊張感がずっと持続することで、実に格調高い瑞々しさに満ちた音楽になっています。夜静かに耳を傾けるのにピッタリの録音です。
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| The Koln Concert : Keith Jarrett |
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| キース・ジャレット ( ピアノ ) |
| ( ECM : 1064 ) |
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ジャズ・ピアノを語る上で決して外すことのできない名盤中の名盤。1975年にケルンで行われたインプロヴィゼーション(即興演奏)を収めたこのタイトルです。これ以降にもキース・ジャレットは数多くのピアノ・ソロのインプロヴィゼーションを発表していますが、今もって彼の最高傑作はこの「ケルン・コンサート」だといってよいでしょう。
彼の演奏ではややもするとナルシスティックな音楽となってしまうことが間々ありますが、ここでは逆にそれが程よいスパイスとなって若々しい勢いとともに繊細で叙情豊かな音楽が展開されています。他のキース・ジャレットのソロ・ピアノ演奏を聞けば聞くほど、この「ケルン・コンサート」の素晴らしさは際立っていますが、これは若さゆえにたまたま成し得た偶然の部分も多分にあるのではないかと思います。言うなれば「時分の花」とでもいえるでしょう。
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| The Melody At Night, With You : Keith Jarrett |
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| キース・ジャレット ( ピアノ ) |
| ( ECM : 1675 ) |
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慢性疲労症候群によって活動を休止せざるを得なくなっていたキース・ジャレット。その病魔からの活動再開として発表されたのがこのアルバム。彼の演奏としてはおなじみのピアノ・ソロ演奏ですが、このアルバムはいつものインプロヴィゼーションではなくスタンダード曲集です。
ここにあるのは“音”だけ。ジャズといった音楽でもなく、情感を伝える音楽も無いといっても良いのかもしれません。ただ“音”が紡がれていくこともなく、シンプルに、かつ丁寧にひとつひとつの“音”が置かれていく……。感情が起こることも無く、静かに静かに。それでいて開かれている。
これほどの演奏があのナルシスティックなキース・ジャレットから聞けるとは……。何よりも音楽に対して常に離れた視点を保って“音”と“音”の隙間、その淡いを見続けていることには驚きでした。ジャズ・スタンダードであるのにもかかわらずなぜか最上質な子守り歌を聴いているかのような心持ちに誘ってくれる名盤中の中の名盤です。
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| Dark Intervals : Keith Jarrett |
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| キース・ジャレット ( ピアノ ) |
| ( ECM : 1379 ) |
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スタンダード・ジャスに集中的に取り組んでいたキース・ジャレットが1987年にサントリー・ホールで行ったピアノ・ソロ演奏のライブ演奏です。一般のキース・ジャレットの評価は、しなやかなテンションと叙情溢れるリリシズムで長大なインプロヴィゼーション(即興演奏)をする天才演奏家として認知されているといってよいでしょう。しかしながらこのタイトルでは彼が元々作曲していた小品を演奏しているので、そのイメージにそぐわないとして一般での評価はかなり低いものとなっています。
実を言うと個人的にはそのインプロヴィゼーションではほとんど感銘を受けたことが無いのが本当のところ。彼のインプロヴィゼーションを聞けば聞くほどどんな天才であっても“個人”の音楽体験を出発点にしている限り即興演奏には限界があるなと感じてしまいます。一言で率直に言うと普遍性を持ちえていないなと。その点、元々準備されていた音楽を出発点にして演奏すると彼の音楽の地平は大きく広がります。そのためキース・ジャレットの演奏は何らかの形で作曲されていたもの、又は小品こそ素晴らしい出来栄えだと思っています。彼のピアノ・ソロ演奏としては小品集ともいえるこのタイトルは、隠れた名盤だといってお勧めできるものだと思います。
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